移植に成功！

　皮の採取に成功したので、今度は今使っている運転席をばらしていく。

　座面の裏の金属部品がこんなにさびている。長年、僕からしみ出した汁が、さび止め加工されている金属をこんなに腐食させてしまったのか。かなりさびがひどかったので、電気ドリルに巨大フラップホイールを接続し、できる範囲でさびを取る。ぴかぴかに磨いていたら何ヶ月あっても足りない感じだったので、そこそこさびを取ったところであきらめる。このままだとまたすぐにさびてしまうので、さびの上からシャーシブラックで塗装しておいた。さびの上に塗っても意味がないとは思うが、塗らないよりはましでしょう。

　NA6CEのヘッドレストスピーカーがシート側に埋め込まれていたのに対し、

　NA8Cのヘッドレストスピーカーはカバー側に固定されていた。NA6CEは縦型の奇妙な形のスピーカーだが、NA8Cはセンソリーのシステムが付いているためか、丸く大きなスピーカー。

　ヘッドレストスピーカーはコーン紙が破れてびびり音が出て、かなり前から使っていなかったので、NA8Cのスピーカーに交換することに。形が違う分、シート側のスポンジをカッターナイフで加工する。

　背もたれ側から作業を進める。ヘッドレストスピーカーのカバーがぴったりつかなかったが、皮に押し込んだらまずまずの形になる。

　シートへの固定はタイラップで。まず先にタイラップをシート側に取り付けてから固定をするとやりやすかった。

　ナックルを取り付ける場所は皮に穴を開けなければならないから、位置決めがしやすいように、ボルトを仮留めしておいた。

　シートベルトの関係だろうか、左右のシートで微妙に形が違うらしく、肩のあたりがご覧のとおり、だぶついてしまった。

　その対策に、不要になった部分からスポンジを良い加減に切り取って当てる。

　ナックルのボルト穴の場所に、仮留めしておいたボルトを頼りに穴を開ける。

　さて、座面側。一番上の写真を見てもわかるように、背もたれのリクライニング機構の軸受け部分が、左右で違うから、一カ所をカッターで切る。

　経たりきった座面はスポンジごと交換。黒く塗装したからFRPのバケットシートっぽい。一カ所カッターで切れば、そのまますっぽりと金属の皿とドッキングが可能。タイラップで固定する。固定する穴がかなりずれているが、一番近い穴を利用したり、皮に穴を開けたりして試行錯誤で取り付ける。シートレールが付く位置、写真では右上と右下の矢印部分の２カ所を切り取る。

　背もたれと座面をドッキングさせ、シートレールも取り付ける。

　こんなふうになっちゃうのはご愛嬌。この部分にもかなりスポンジをつめてある。

　座面側はぼろぼろになってしまった皮でも、シートバック側の皮はきれい。なので、切り取ってボンドで貼り付け穴をふさいだ。縫い目に合わせて型紙を取り、それを当てて丁寧に切り取ってなるべく目立たないように。今後の補修用にシートバックの皮は切り取って保管しておく。

　こんな穴も開いちゃうけれど、センタートンネル側でまったく見えないので問題なし。

　完成。皮にしわがよってしっくりしていない。運転席側の背もたれのスポンジに、助手席側の座面スポンジをドッキングしてあるので、なんとなくずれている感じあるけれど、言われなければわからない程度。

　こうして取り付けてみると、まったくもってノーマル然としていてすばらしい。気になる点をいくつか。

・リクライニング調整のレバーのための逃げがないので、レバーを操作しにくい。

　これは、どーだバーがあるからなおさら。どーだバーがなければ支障がないかも。

・シートを前に出すときに若干引っ掛かりがある。

　センタートンネルと少し干渉するため。やっぱり純正シートはいろいろ考えてかなり微妙なつくりになっていることがわかる。でも引っかかる程度だから問題なし。

・リアコンソールのふたが開いたままにして置けなくなった。

　シートの形を合わせるためにつめたスポンジが多すぎて、リアコンソールのふたを開けると干渉するようになってしまった。ドリンクホルダーがむき出しだと格好悪いから、リアコンソールの中に設置してある。普段はふたをしてあるからドリンクホルダーが見えない。缶を置きたいときは、リアコンソールのふたを開けたままにしておく必要があるのだけれど、飲み物を飲もうと缶を持ち上げるたびにふたが閉まってしまう。缶を片手に持ったままリアコンソールをあけなくてはならず、信号待ちのときに助手席や灰皿の上に缶を置くか、走行中なら一瞬ハンドルから手を離してふたを開けるかしなければならなくなってしまった。不便。しかし、これは僕だけの問題でドリンクホルダーをそんなところに設置していなければ、まったく問題ないし、スポンジがつぶれてくれば問題がなくなりそう。

・１０数万キロを走ってすっかり僕の体になじんでいた座面が元通りになってしまった。

　座面のスポンジを変えたのだから当たり前。NAロードスターに乗っている人は思い出してほしい。純正シートに初めて座ったときの、あのかまぼこの上にでも座っているような落ち着かない感じを。古いシートよりも疲れるような気がする。

　と、いろいろ問題点を書いたけれど、できには非常に満足している。汚いシートのときはドアを開けるたびに落胆していたのだが、ぴかぴかなシートが待っていると、それだけでうきうきしてしまう。

　あとは、幌を交換すれば「ポンコツ」と指差されることもなくなるだろう。欲を言えば、黒く汚れてしまったタン色のカーペットを新調したいかな。

　運転席側のシートにもポケットが付きました。