突然の出来事

　「突然石を積み始めたときには、なにやら面白そうなことを始めたな、ぐらいにしか思わなかったんですがまさかダムを造ろうとしていたなんて…」。ツーリングに参加した松本市内の男性(25)は、青ざめた顔で証言した。

　信州の夏にしては暑すぎるぐらいの１日。12台の車が集まったツーリングの最中に、その出来事は起こった。駒ヶ根市内の某所にて川遊びに戯れる参加者

川遊びを楽しむツーリング参加者。この後、Ｂ氏の政治的と思わせる行動が繰り広げられた。

の中、Ｂ氏が突如、石で川をせき止めだしたのだ。「ダムを造ろう」とつぶやき、淡々と石を積み上げるＢ氏。せき止められた水であたりの水深はだんだんと増していった。

　「彼は田中知事の『脱ダム宣言』に反対したかったのではないか」と話すのは前出の男性。確かに、「県民益」を伝家の宝刀に、自らの独善的な理念を県民に押しつけている、ともとれる知事の言動には批判が集まっている。Ｂ氏が、そんな知事の姿勢を行動で批判した、というのが、男性の見方だ。

　真実は？

　情報を聞きつけた本紙記者はＢ氏に直撃取材を試みた。しかし、「置いて行くぞ〜」という仲間の声に、Ｂ氏は造りかけのダムに後ろ髪を引かれながら、立ち去った直後。真実は闇に包まれたままだ。